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PTAH(山藤) 代表  山本 浩司 さん

「目指すは戦う職人集団。一人一芸でいいから、ベテランの技を次世代に受け継いでもらいたい」

山藤の創業は1899年(明治32年)。東京の袋物メーカーの中では、最古参の部類に入る。現在の当主は5代目。見た目も麗しい若だんなを想像していたら、迎えてくださったのは、なんとジーンズを穿いた金髪のオジサンだった。破天荒ないでたちに革新を続ける老舗の心意気を見た。

ケンカもいとわない本気の付き合いで職人の信頼を得る

下町の物作り企業は、職住一体のところが多い。
山本さんも生家のすぐ近所が父の仕事場だった。

こっそり工場に忍び込んで、
焼き印が入った革の切れ端をコレクションしたり、
その切れ端で幼稚園の通園かばんを作ってもらったり・・・
物心ついたときから、革という素材が身近にあった。

山藤に残る古いアルバム。写真の一枚一枚に老舗の歴史が垣間見える。

とはいえ、山本さんは次男である。
当然ながら家業を継ぐ気はさらさらなかった。

「ところが、兄貴は物作りよりスポーツのほうが得意で、
トライアスロンの選手として活躍するようになりました。
このままだと家業が自分の代で終わると思ったんでしょう、
強気のおやじが弱気なことをよくいうようになったんです」

父のつらい心中を察した山本さんは、
家業を継ぐことを決意した。
だが、入社した当時は企画営業という立場ゆえ、
昔かたぎの職人たちと何度も衝突した。

「職人の頭の中には、
『いい財布はこうあるべき』という固定観念があります。
それに反することは、いくら得意先の注文でも
なかなかやってくれません。
『もうお前のところのはやらん。帰れ!』
なんていわれて、もう怒鳴り合いですよ」

「でも、次の日に職人の奥さんから
『電話してあげてよ、気にしてるからさ』
なんていわれ、恐る恐る電話するとひと言、
『やってやるよ』といってくれる」

不器用なコミュニケーションだったが、
それゆえに本物の関係を築くことができた。

工房兼shop3Fの工房。山藤専属の職人たちが日々、製品作りに邁進する。

「熟練した職人は、革に触れただけで
厚さや固さが瞬時にわかります。
硬いなと感じると、指先で革をよくもむ。
厚いときは、もう一度革を漉(す)いてから縫製する。
そうした作業を無意識にくり返していて、
ゲージで測るよりも正確な革の厚みになる。
職人ってすごいなっていまも思いますね」

しかし、財布作りの世界も
次第に海外生産が当たり前となり、
高度な職人技が発揮される機会が減ってきた。

技術は作る場があってこそ受け継がれるもの。
そうした山本さんの思いは、
オリジナルブランドの立ち上げにつながっていく。

ショールームのガラスに描かれたイラスト。温かみが伝わってくる。

先輩の職人技を若手に体で覚えてもらいたい

本社3階の工房を見せていただくと、
1人のベテランの職人を囲むように
若い作り手たちが財布作りに専念していた。

「彼はもともと個人で仕事をしていた職人です。
その技に私がほれ込んで、
定期的にうちの工房に来てもらっています。
後輩たちには、彼が隠し持っている
技の引き出しをどんどん開けさせて
財布作りの技を盗むようにいっています。」

工房では時に、熟練の職人が若い作り手にアドバイスすることも。技が伝承される貴重な機会だ。

熟練の職人が若い作り手たちに技を教える――。
一見、当たり前のことのように思えるが、
歴史的に内職の職人へ製造を任せてきた袋物業界では、
自社で職人を抱えるメーカーはとても少ない。

山本さんは自分たちを「戦う職人集団」と掲げ、
老舗の枠にとどまらない試みを行っている。
そのシンボルが2009年に立ち上げた、
オリジナルブランド『PTAH(プタハ)』だ。

プタハとは古代エジプトであがめられていた工芸の神。
いまはまだ手探りの段階というが、
いかにも職人たちの意気込みを感じる名前ではないか。

「営業担当、職人の区別なく、
社員全員が『一人一芸』を持つ会社になって、
ヨーロッパのメゾンブランドに負けない、
魅力のある財布を作りたいですね。
その技術はもうここにあるんですから」

取材・文/宮坂敦子、撮影/権藤和也、AD/柳悠介
山本 浩司

[Profile]山本 浩司 やまもと・こうじ

1966年東京都生まれ。大学卒業後、家庭雑貨の大手卸会社へ就職。1990年に株式会社山藤へ入社。作り手とデザイナーの架け橋となることを目指し、営業職のかたわら、社外の職人を数多く訪ねる。2002年に代表取締役に就任。2011年には自社ビルの1Fを全面ガラス張りに改装し、工房兼ショップを設立した。

メッセージ

1899年創業の伝統と歴史によって受け継がれてきた技術を、新しいデザインに落とし込む。若手職人が技術を体で覚え、後世に伝えていく−−そうした活動に全身全霊で取り組んでいます。人類とともに数千年の歴史を歩んできたleatherは素晴らしいもの。好きな言葉は、"Let's go to the leather world with us."
山藤の財布を持つ人が格好よく楽しく、しかも、日本の技術の奥深さに感動してもらうことができたら最高です。

[Brand]PTAH プタハ

東京随一の老舗財布メーカー、山藤が2009年にスタートしたオリジナルブランド。ブランド名は古代エジプトで天地を創造し、あらゆる職人と工芸の神としてあがめられていた神の名前が由来。100年以上にわたり、受け継がれてきた技を生かし、細部まで作り込んだ財布を都内で製作している。2010年にプタハのレディスブランドにあたる『アクア』もスタートした。

[Products]今回のご紹介アイテム

 財布は毎日使うものだからこそ、丁寧な作りのものを選びたい――『プタハ』はそんなワンランク上の人に向けたハイグレードな財布で定評がある。
 まず、紹介するのは櫛(くし)マチの小銭入れ。櫛マチとは、櫛の目を使って革を蛇腹状に成形して、収納にあわせてマチが伸縮するようにする技法。製作に手間がかかるため、いつしか日本から消えかかっていた技術だが、山藤の職人が復活させた。
 もうひとつは、日本の伝統文化である「折り紙」をモチーフにしたコインケース。1枚の革を4方向から折り重ねたシンプルなデザインだが、コバを磨き上げた上質なヌメ革を使っており、さりげない存在感を放つ。スリムだが、30枚前後の硬貨が収まるコンパクト設計も人気となっている。

PTAH 櫛マチ 小銭入れ グリーン

PTAH/櫛マチ 小銭入れ グリーン櫛の目を使って革を蛇腹状に成形して、収納にあわせてマチが伸縮するようにする技法を用いて作られた美しいフォルムに注目。

PTAH/櫛マチ 折り紙コインケース chocolate チョコ

PTAH/櫛マチ 折り紙コインケース chocolate チョコ1枚の革を4方向から折り重ねたシンプルなデザイン。スリムだが、30枚前後の硬貨が収まる。

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