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FESON(山万)/代表取締役 山田晴彦 さん

「ひとりの人間が責任を持って最後まで仕上げる。職人主導の高度な物作りを何としてでも残したい」

メーカーの経営者には2つのタイプがあるように思う。ひとつは商売上手でトレンドを敏感に見抜く、プロデューサー気質の社長。もうひとつは新しい商品を考えたり、難しい仕事に取り組むことに情熱を燃やす、職人気質の社長。紳士財布メーカー、山万の山田晴彦社長(66歳)は後者のタイプだ。技を駆使したラグジュアリーな紳士財布を、腕ききの職人と二人三脚で生み出してきた。

父の教えを守り、職人と強固なパートナーシップを築く

もし前情報もなく山田さんとお会いしていたら、
社長ではなく職人だと勘違いしていたかもしれない。

自分のことはあまり語ろうとしないが、
話題が財布作りにおよぶと話がとまらなくなる。
ときおり自社製品を手に取りながら、
財布作りの技をこと細かに解説してくれる。
その手は職人のように無骨で大きい。

聞けば、高校を卒業してからずっと
職人が気持ちよく仕事できるように、
材料手配や部品を作る仕事をやってきたという。

手先が器用で幼いころは目覚まし時計を分解して遊んでいた。
手を動かすことがよほど性に合っているのだろう。
社長となったいまも社員に混じり、材料加工にいそしむ。

社内には、この道60年をこえるベテランの職人が常駐。製品作りと後継者の指導に当たっている。

「東京の皮革メーカーは手配師のようなものです。
フリーランスの職人を専門分野ごとに束ねて、
得意先の要望にかなった製品をプロデュースする。
そのためには腕ききの職人と対等に渡り合えるだけの
知識を企画担当者が備えてないといけません」

山田さんはその知識を父の会社で働きながら吸収した。
父も同じく財布メーカーの経営者だったが、
「職人を一番大事に」が教えだった。

「東京の皮革産業は職人のネットワークで成り立っています。
しかし、得意先のコストダウンの要求にこたえるために
メーカーはやむなく職人の生産コストを圧縮してきました。
その結果、若い後継者が育たなくなってしまいました」

「本当は職人の工賃をもっとアップできればよいのですが、
価格競争が厳しいいまの時代は簡単なことではありません。
であれば簡単な材料の加工は自分たちで事前にやっておき、
職人でなければできない難しい仕事だけを依頼しようと。
こうすれば職人に余計な負担をかけなくてすみますからね」

山万には若いスタッフが多い。材料が豊富にストックしてあるので、新製品の試作もすぐに行える。

メーカーとして誇りを持てる財布を少量でも作り続けたい

職人とパートナーシップを組んで財布作りに取り組む――。
山万の生産スタイルは会社をたずねるとよくわかる。

事務仕事にたずさわる人は数名で、
大半は材料加工や製品の仕上げ作業に黙々と取り組む。
年齢層も幅広く、上は80代のベテラン職人から
半年前に入社した20代の女性までさまざま。
その中には山田さんの2人の息子もいる。

作るのはOEM(相手方ブランド生産)の製品が多いが、
息子たちがいま力を入れているのはオリジナルの財布。
それが2003年にスタートした「フェソン」だ。

「ブランドを立ち上げたのは市場への反発からです。
価格ではなく、クオリティー重視の財布を買ってくれる。
そんな消費者もいることを証明したかったんです」

たしかにフェソンの財布は安くない。
多いのは2万円台、上は4万円台のものもある。

「われわれがいちばんこだわっているのは高級感です。
高級感は素材のよさと細部の作りから生まれます。
隠しミシン、菊寄せ、ネン引き、コバ磨き・・・。
小さな財布にもたくさんの技術がつまっているんですよ」

濃淡のあるアドバンレザーを使ったフェソンの財布。シンプルだが、細部まで仕事が行き届いている。


たとえば財布の角の部分の革を扇状に曲げる「菊寄せ」の技法。
他社では革を寄せる数を決めているところが多いという。
これに対して山万では革の特性を瞬時に職人が見抜き、
成り行きで寄せる数を決めていく。

「遠目にはわからない細部まで徹底的にこだわることが
結果として全体の高級感をかもしだす」と山田さん。
「だから好きじゃないとこの商売はつとまらない」と笑う。

工場生産とは対極にある工房型の物作り。
これがフェソンの真骨頂だ。

「マイスター的な物作りを目標にしているわけではありません。
でも財布に関して言えば、工場でライン生産されたものと
ひとりの職人が最後まで仕上げたものは明らかな違いが出ます」

ブランドに求められるのは新規性ではなく作り手の責任感。
フェソンが私たちに伝えようとしているのは
そんなシンプルなメッセージなのかもしれない。

取材・文/菅村大全、撮影/権藤和也
山田 晴彦

[Profile]山田 晴彦 やまだ・はるひこ

1947年東京都生まれ。高校卒業後、1966年に袋物の問屋に入社。営業と材料の仕入れ、部品加工(縫製)などにたずさわる。1971年に父が経営する紳士財布メーカー、ヤマダに入社。以後30年間にわたり、国内外で高級財布の企画、営業、生産管理に従事する。1976年に取締役に就任。2001年に同社を退職し、山万の代表取締役に就任。日本ハンドバッグ工業連合会会長、東日本ハンドバッグ工業組合理事長。座右の銘は、「三わり(役割・こだわり・関わり)」を備えた財布作り。

メッセージ

「フェソン」は最高級のクオリティーで革小物を作ろうという意気込みではじめた国産ブランドです。ひとつの商品にじっくり時間をかけ、仕立てのよさ、ていねい作りなどの技術を大切にしています。デザインはシンプルな反面、製法やコバの処理など小さなこだわりがすべての商品に凝縮されています。ぜひ一度手にとってマイスターが生み出す、本物の財布を体感してみてください。

[Brand]FESON フェソン

山万が2003年に立ち上げた、紳士財布のラグジュアリーブランド。代表の山田晴彦さんが過去40年以上わたって築いてきた職人のネットワークを生かし、ハイクオリティーの財布や革小物をプロデュースしている。外部だけでなく自社にも国内トップクラスの職人を抱え、若いつくり手の育成にも努める。修理にも万全の体制を敷いている。

[Products]今回のご紹介アイテム

 目新しさよりも技術を重んじるフェソンの財布はどれもベーシックなデザインのものばかり。ともすると地味に見えますが、間近でみると工芸品のような繊細な作りにおどろかされます。
 注目したいのは「コバ」といわれる革の断面の処理。革本来の質感を生かした仕上げにするために、顔料ではなく、染料で色をつけてあります。さらにコバ液といわれる不溶性の溶剤を塗り、何回もクロスで磨くことで、深みのある色と透明感のある上品な光沢を生み出しているそう。
 アンティーク調の陰影ある表情が個性的な革は「アドバンスレザー」といわれる素材。淡い色の上に濃い色を塗り重ねた革を、部分的にクロスで磨き、下地の色を出すことで立体感を表現してあります。
 当店で販売するのはマチ幅たっぷりの長財布、ベーシックな二つ折りの財布、名刺入れ、キーホルダーの4アイテム。アドバンスレザーの色はブラウン、ワイン、ブルーの3色を用意。世代や性別を選ばない普遍的なデザインは、目上の人へのギフトにもぴったりです。

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