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    【高橋工芸】使い込むほどに愛着が増す、木目のテーブルウェア

    木の食器を普段使いの器として定着させたい できれば自分の山で育てた木を使って

    おいしいワインやウイスキーを作るには、「熟成」がかかせません。一定期間寝かせることでアルコールの角が取れ、口当たりがやわらかい味になるからです。木の器作りも同じ。木を十分に寝かせ、ロクロ挽きで荒削りした後も乾燥させないと、いい器を作ることはできません。もの作りには時間が必要――旭川にある高橋工芸を訪ねて感じたのは、そんな当たり前の大切さでした。

    旭川市にある高橋工芸の工房。かつてはここが自宅だったという(最上段)。原木から荒削りされた器は室内で1〜2ヶ月ほど乾燥させた後、ヒーターで含水量を調整する(中段左上)。高橋さんが作る器は、一点一点ロクロで削り出して成形される(中段右)。高橋さん愛用の道具。父から譲り受けたものもある(最下段)。

    旭川市にある高橋工芸の工房。かつてはここが自宅だったという(最上段)。 原木から荒削りされた器は室内で1〜2ヶ月ほど乾燥させた後、ヒーターで含水量を調整する(中段左上)。 高橋さんが作る器は、一点一点ロクロで削り出して成形される(中段右)。 高橋さん愛用の道具。父から譲り受けたものもある(最下段)。

    挽き物師である父の跡を継ぎ、木の器作りに専念することを決意

     作家というより職人。職人というより兄貴分。高橋秀寿さん(42歳)に初めてお会いしたときの印象です。家具の産地として知られる旭川には、いま20代、30代の若いつくり手が育っています。彼らがもの作りの道に進めたのは、古い枠組みにとらわれずに活躍する先輩たちがいたからこそ。高橋さんも父の技を受け継ぎつつ、自分の未来を切りひらいた先駆者のひとりです。
    「父は、テーブルの脚や引きだしのつまみを挽き物で作る職人でした。父から自分の跡を継げといわれたことはありませんが、高校のときには継ごうと決めていました」
     実家の隣に工房があり、アルバイトがてら父の仕事を手伝っていたという高橋さんにとって、家業を継ぐのはごく自然なことでした。22歳で高橋工芸に入社して今年で20年。高橋さんが手がける器は、いまでこそ全国のショップから引く手あまたの状態ですが、そこに至るまで10年以上の熟成期間を要しました。
    「父は中学を出て木工所に丁稚(でっち)入りした典型的な職人です。手取り足取り教えてくれることは一切ありませんでした。父がロクロで削り終えたものを横で磨きながら技を見て盗み、夕方から工房でひとり練習する日が続きました。ひと通り、仕事を任せてもらえるようになっとき、『家具の仕事はやめて、器に徹しよう』と父に思いきって提案しました。二兎(にと)を追う者は一兎(いっと)をも得ずで、器作りに徹しないと、先はないと思ったからです」
     その後しばらくは、以前から父が手がけていた木のマグカップや湯飲みを作っていたそうですが、観光地の売店を中心とした販路を広げることに限界を感じるようになります。
     そんな高橋さんに転機が訪れたのは35歳のとき。あるバイヤーから提案を受けて試作した木のコップでした。のちに「KAMIグラス」と名付けられ、現在までロングセラーを続ける高橋工芸の看板商品です。

    高橋さんが道内で直接買い付けた木材。自宅の敷地内で自然乾燥させている(中段右上)。製作途中のKAMIグラス。深さのある木のグラスを薄く、均一に挽くには特注の刃物と熟練の技を要する(中段右下)。先代の高橋昭一さんは、いまも現役。「親子といえども職人同士。無駄話は一切しない」と息子は笑う(最下段)。

    高橋さんが道内で直接買い付けた木材。自宅の敷地内で自然乾燥させている(中段右上)。 製作途中のKAMIグラス。深さのある木のグラスを薄く、均一に挽くには特注の刃物と熟練の技を要する(中段右下)。 先代の高橋昭一さんは、いまも現役。「親子といえども職人同士。無駄話は一切しない」と息子は笑う(最下段)。

    極薄の木製グラスを1年かけ製品化 木の器のイメージを根底から覆す

    「当時、はやっていた極薄ガラスのコップ。これを木で再現できないか相談を受けました。ガラスと同じ厚さ(0.9mm)は木材では不可能ですが、どこまで薄い木のグラスが作れるかチャレンジしようと思いました」
     高橋さんによると、極限まで削れば1.2〜1.3mmまで薄くできるが、軽く握るだけで割れてしまう。そこからどこまで木地を厚くするか、コンマ5mm単位で試行錯誤を重ねていったそうです。特注の刃をオーダーし、1年を費やして製品化したものの、斬新すぎて、従来の販売ルートでは扱えない。そこで東京のセレクトショップをくまなく見て歩き、こういうお店に置かれるには何をすべきか展示会でどんな風に商品を見せればよいかを考えたといいます。
    「一家に1枚は木の器が並ぶようになるとうれしい。それが自分のところの製品であろうとなかろうと。木の器がある食卓って、温かみがあって幸せだと思うんです。その器が結果的に高橋工芸のものだったらうれしいけど、自分の名前を売ることは考えていません」
     自分は作家ではない。あくまで職人。職人として木の器の魅力を多くの人に伝えるには現代のライフスタイルに合わせたものを作らなければならない――それが高橋さんの信念。
    「新製品の企画はたくさんありますが、無理して点数を増やさないようにしています。デザイナーからのアイデアもすぐに形にせず、いったん寝かせます。タイミングが来たら試作して、自分たちでまず徹底的に使い倒します。その検証を経たものだけを商品にしています」
     新商品開発についても熟成が重要だという高橋さん。彼には、もうひとつ、時間をかけて実現させたい夢があります。それは山を買うこと。
    「木材を仕入れるため、北海道のいろんな山に行きますが、わかるんですね。切りすぎているなって。自分の山を持てたら、必要な分だけしか伐採しないで済みます。でも、山を買っても木を育てることはひとりではできない。だから、いろんな人に協力してもらいながら、実現へ向けて勉強をはじめたところです」
     その言葉には、木工職人の自然に対する畏敬(いけい)の念が感じられました。

    文・写真/フリーライター 菅村大全

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    高橋秀寿
    クリエイター
    高橋秀寿たかはしひでとし

    1962年北海道旭川市生まれ。地元の工業高校を卒業後、建築会社に就職。現場監督として4年間、社会人の経験を積み、1992年に高橋工芸へ入社。1997年に自身の代表作となるKAMIグラスを発表。現在は若手デザイナーと共同で、現代のライフスタイルに合わせた木製のテーブルウェアを幅広く提案している。2009年に有限会社高橋工芸の代表取締役に就任。

    つくり手からのメッセージ

    余計なことはあまりしないようにしています。木のよさをできるだけ生かしたいから。

    ブランド
    高橋工芸Takahashi Kougei

    挽き物師の高橋昭一さんが1965年に創業。当初は家具の脚(飾り柱)などを手がけていたが、家具の需要低迷に伴い、1980年代ごろからロクロ挽きのコーヒーカップやシュガーポットなどを製作し始める。旭川の木製テーブルウェアメーカーでは元祖というべき存在。木の持ち味を生かした、シンプルで機能的なテーブルウェアは高感度なセレクトショップからも注目を集める。


    プロダクツ
    今回のご紹介アイテム

     高橋工芸では、紙のように薄い「KAMIシリーズ」。柔和なフォルムの「Caraシリーズ」。木のテーブルウェアを中心とした「Kakudoシリーズ」の3ブランドを展開しています。この中から当店バイヤーが選んだのは、KAMIシリーズの4種と、Caraシリーズの9種。

     KAMIシリーズは、名前の通り、紙のような薄さ、軽さ、白さが特徴。本体の厚さはわずか2mm。あかりをかざすと透けるほどに薄く削られています。木目が際立った本体は、北海道産のセンの木。ガラスのコップとは違った、ソフトな口当たりが楽しめます。コーヒーや紅茶を入れても染みにならないよう、表面を学校給食の食器にも使われる安全なポリウレタン樹脂でコーティングしてあります。軽く、落としても割れないためマイグラスとして野外へ持ち出すのにもうってつけです。

     Caraシリーズは、プロダクトデザイナーの小野里奈さんと共同開発した製品。家族がそろった食卓の幸福感を、手に包み込む卵の形で表現したそう。シャープな形のKAMIシリーズとは異なり、女性らしい柔和なフォルムが印象的です。素材は北海道産のシナを使用。食器に使われることはめったにない木材ですが、「やわらかく、やや赤みのある色が卵のイメージにぴったり」と高橋さんがほれ込んだそう。こちらはコップだけでなく、プレート皿や深めの皿やボウルも用意されています。いつもの料理も木の器に盛ると、また違った雰囲気になるはず。

     木の器というとお手入れが面倒そうですが、たわしでゴシゴシこすったり、食器洗浄機にかけたりするなど、乱暴な扱い方をしなければ、10年20年は持つそう。「木が生まれ育った年月と同じくらい、長く使ってもらえれば」と、高橋工芸ではひび割れの修理やポリウレタンの再塗装も有償で行っているそうです。

     漆器以外に木の食器を使ったことがないという人は、まずKAMIグラスかCaraプレートで、その使いやすさを体験してみませんか。


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